元を取る定義
まず、元を取るという定義を決めます。太陽熱温水器の設置費用は70万円します。
70万円分のお湯を使えば元を取ったという定義にします。
自然循環式太陽熱温水器サイフォン 300L | 372,900円 |
加圧ポンプ FPA20-120 | 52,800円 |
工事費(電気工事込み) | 200,000円 |
合計料金 | 625,700円 |
上記の合計金額625,700円に送料や制御パネルなどを追加してざっくり70万円かかる計算にする。
太陽熱温水器が1年で作りだす熱量
300Lの太陽熱温水器で冬至に9000kcalのお湯を作った。
千葉の晴天日数は217.7日 / 年 (出典元とどらん)
9000 × 217.7 = 1,959,300kcal
太陽熱温水器が作り出す年間の熱量は1,959,300kcal
1,959,300kcalを金額換算する
熱源 | 計算式 | 必要量 | 金額計算式 | 金額 |
---|---|---|---|---|
灯油 | 1,959,300kcal ÷ 8,718kcal/L | 224.74 L | 224.74 L × 123円/L | 27,643円 |
都市ガス | 1,959,300kcal ÷ 10,750kcal/m³ | 182.26 m³ | 182.26 m³ × 176円/m³ | 32,078円 |
プロパンガス | 1,959,300kcal ÷ 24,000kcal/m³ | 81.64 m³ | 81.64 m³ × 650円/m³ | 53,064円 |
エコキュート | 1,959,300kcal ÷ 3,000kcal/kWh | 653.10 kWh | 653.10 kWh × 26.78円/kWh | 17,490円 |
・灯油 2025年1月関東の平均料金
・都市ガス 2025年1月東京ガス0〜20m³の料金
・プロパンガス 2024年関東の平均
・エコキュート 東京電力従量電灯B 2025年1月 120kwhまでの料金 電力料金29.80円/kWh- 6.51円(燃料調整費) + 3.49円(再エネ賦課金) = 26.78円
元を回収するのにかかる年月
熱源 | 計算式 | 回収年数 |
---|---|---|
灯油 | 700,000円 ÷ 27,643円/年 | 25.32年 |
都市ガス | 700,000円 ÷ 32,078円/年 | 21.82年 |
プロパンガス | 700,000円 ÷ 53,064円/年 | 13.19年 |
エコキュート | 700,000円 ÷ 17,490円/年 | 40.02年 |
注意点
・9000kcalのお湯を1日で使い切る前提の計算になっている。お湯の使用量が少ないと更に回収に時間がかかる。
・しかし9000kcalを1日で使い切れなくても真空管式太陽熱温水器なので翌日に保温して持ち越すことができる。
・一年で最も日照時間が少ない冬至の熱量で計算しているので実際の年間熱量はもっと高い。
・真空管式太陽熱温水器は曇りでも発熱する。今回は晴天日数で計算したので曇りの日に作られる熱量は加味していない。
・真空管式太陽熱温水器の真空管の耐用年数は25年。劣化して壊れた真空管は新品に交換すれば継続して使用できる。(※日本エコル製の真空管は25年)
太陽熱温水器を導入するべきケース
太陽熱温水器を今すぐ導入するべき人を考えてみました。
・日当たりの良い設置場所がある人
・お湯の使用量が多い人(大家族、飲食店など)
・地下水を利用している人(多少水質が悪くても日本エコルの製品なら使える)
・塩害や排ガスによる腐食がある設置環境(ステンレス製なので劣化が少ない)
上記に当てはまる人はすぐに元を取れるので是非とも導入をおすすめします。
太陽熱温水器が不向きなケース
私の兄が太陽熱温水器が不向きなモデルケースなので紹介します。
東京の庭無し一軒家(長屋)
庭に設置できればベストなのだが、庭がないので屋根に設置するしか無い。東京の狭小住宅地での屋根設置は神経を使う。そもそも長屋の屋根なので設置は無理かも
ガス料金が安い
一人暮らしなのでシャワーで済ますことが多い。更に男だからお湯の使用量も少ない。都市ガスということもあって年間のガス料金が1.7万円(基本料込み)しかかからない。
考察
兄の家は設置が大変な問題もあるけど、仮に設置できたとしてもガス料金が圧倒的に安いので費用対効果の面では太陽熱温水器を導入するメリットをあまり感じません。
兄の家のガス給湯器は2004年製で実に21年もの長期間、故障もせずに使えているのですが、おそらく使用量が少ないお陰でボイラーの負荷も少なくなって長期間運用できているのだと思います。
太陽熱温水器とガスボイラーを併用して使うと太陽熱温水器でプレヒートされたお湯をガスボイラーで使うのでガスボイラーの負担が減って長持ちすると言われていますが、そもそも兄のケースだと太陽熱温水器を接続しなくてもガスボイラーは長寿命です。なので兄は太陽熱温水器を導入するメリットはあまりありません。
もし兄から太陽熱温水器を導入したいと相談をうけてもやめたほうがいいとアドバイスすると思います。
まとめ
太陽熱温水器は長く使えば確実に元を取ることができます。なぜかというと燃料費が無料だからです。その他の給湯器は燃料を購入してお湯を作る時点で元を取るということ自体が不可能です。薪ボイラーですら薪を作る労力を考えれば元を取るということは難しいと思います。
今回は注意点の項目を見てもわかるようにかなり厳し目に計算したので実際はもっと早く元が取れると思います。もし太陽熱温水器の導入を考えている人がいれば今回の記事を参考にしてみてください。
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