真空管式太陽熱温水器は元が取れないという指摘

太陽熱温水器

動画のコメント

真空管式太陽熱温水器の解説動画と元が取れるか計算してみた動画を出してたくさんのコメントを貰いました。頂いたコメントを元に更に真空管式太陽熱温水器について考察していこうと思います。

真空管式太陽熱温水器を詳しく解説します
真空管式太陽熱温水器は元が取れるのか?

井戸水について

解説動画の中で「海水混じりの水でも使用可能なので井戸水くらいだったら問題なく使用できる」と言ったのですがこの発言に対してこのようなコメントを頂きました。

井戸水は、良く調べてください。硬水の場合、お湯を作るとミネラルが内部に溜まってしまうので。
塩分ではなく鉱物の堆積が問題です。電気ポットでお湯を作ると中が白っぽくくっつくもの、あれが溜まっていきます。
温度が高くなると、水の中に溶けていられなくなった鉱物が壁にくっつきます。水の成分調査は各地に検査機関があって1回数千円から1万円程度でやってくれます。
料理の時に水が固いと思われる方は確かめたほうが良いのかなと。

たしかに硬水だとミネラルの蓄積があるかもしれません。僕も初期の頃は金気の多い井戸水を温水器に入れていたのですが、気分的に嫌だったので新しく井戸を掘り直してきれいな水をいれるようにしました。ちなみに金気水は7年ほど使用した水道管を見たところうっすら赤錆はついていたものの管が詰まるほどの蓄積はありませんでした。余談ですが少し前に太陽熱温水器で温泉を加熱したいという依頼が日本エコルに来たのですが、湯の花が出る温泉は使えないと言ってました。

熱交換式のトルネードについて

熱交換式タイプのトルネードを以前動画で説明した時、グルグル巻の銅管で熱交換していると言ったのですが、銅管だと井戸水の成分によっては腐食するのではないかと思い、日本エコルに確認してみました。すると現在は銅管ではなくステンレス管で熱交換しているので問題ないとの回答を頂きました。

高額すぎる

このコメントは一番多かったコメントです。いろんなタイプのコメントを頂いたので一つ一つ分割して考えて行こうと思います。

安価な平板式で十分でしょ

工賃込み費用60万円か、ノーマルの太陽温水器我が家が15年前で15万円だったから約4倍!上げてきてますね業界、快適に使えるガス給湯器、ガス代込みで約5年分!多少我慢して使えば100万円ぐらいは得かもね!

平板式の温水器と比較して考えると高額に感じますが、真空管式と平板式では性能が全然違うので比較できないと思います。あとタンクの容量もよく見たほうがいいです。

↑の平板式温水器の型番をみるとSW1-311となっているので300Lくらいのタンク容量なのかなと思うのですが実際は245Lしかありません。日本エコルの真空管式温水器は240Lタイプで28万円で購入できるので平板式との差額はほとんど無いと思います。

真空管式は架台もついてくる

集熱効率を上げるには太陽の角度に合わせて温水器を設置することが大切です。日本エコルの真空管温水器では架台の足を伸縮させたりして角度を調整するのですが、調布の平板温水器は架台がついてこないので別途購入する必要があります。架台の価格を考慮すると真空管式の温水器のほうが安く購入てしまいます。

タンクと真空管だけなのになんで35万もするのか

意外と元が取れ無さそうと思いました。理由は夏は雨天も多い事、夏は1日9000kcalも必要ないためそれだけの節約効果が無い事などによります。と言っても私も太陽熱温水器のファンではあるので、なぜそうなのか考えてみました。
やはり単純に太陽熱温水器が高価だからじゃないかなぁ。タンクと真空管だけなのになんで35万もするのか。もともと相場はそんなもんだと納得して疑いませんでしたが、こうやってボイラーやエコキュートと比べてみると、なぜこんな単純な製品がこんなに高価なのか不思議に思います。タンク、真空管、架台がセットで10万円くらいで手に入るといいですね。もちろん生産量が少なくて難しいのでしょう。今回冷静に比較して頂いたことで、価格についての再発見をした気がします。

これの関しては僕も色々調べたのですが、シンプルで壊れにくいものほど高額だなと思いました。薪ボイラーを見ても350Lタイプのものが100万円を超えています。特に構造が複雑でもないのになぜこんなに高価なのでしょうか?

時限故障装置

一般的に使われているようなガス給湯器について色々調べていたところDIYユーチューバーのイルカさんが面白い動画を出していました。

ノーリツ エコジョーズ給湯器が故障!中和器寿命交換 920 930エラーのリセット方法

イルカさんはエコジョーズという熱効率95%を謳っている高性能なガス給湯器を使っているのですが、10年ほど使用して中和器の異常のエラーが出たそうです。中和器というのはボイラーから排出される酸性の結露水を中性にする装置です。

給湯器から中和器を取り出してPhを測定してみたところ特に問題はなかったそうです。中和器エラーは中和器の異常を感知して出るのではなく、給湯器の稼働時間がメーカーが設定した時間を超えると出るみたいです。

取り出した中和器を洗浄して給湯器に戻し、エラー解除してまた問題なく使用しているそうですが、イルカさんはDIY精神がある方なので自力でここまでの作業をしましたが、普通の人はサービスマンを呼んで見てもらうと思います。(有料)

中和器エラーだけの問題で済めばいいのですが、このエラーをずっと放置していると最終的にインターロックという強制停止状態になってしまうそうです。そうなったらお湯が使えなくなってしまうので、最悪新しい給湯器に買い替えることになります。

イルカさんはこれを時限故障装置と呼んでいました。この時限故障装置のおかげで定期的にガスボイラーが売れるし、サービスマンの仕事も確保できると僕は思いました。ちなみに太陽熱温水器や薪ボイラーには時限故障装置はついていません。なので大量に売れるということは無いのでなかなか値下げが難しいのかなと僕は考察しました。

雨の日が考慮されていない

うーん。どうも計算が変です。 太陽熱温水器でお湯が沸かせるのが年間217日たと、残りの148日はお湯が出来ないので別の熱源が必要です。

仮にに都市ガスを使った場合、その148日は都市ガスの給湯器が必要なので計算から都市ガス給湯器の本体価格を引くのはおかしいです。

都市ガスの基本料金は別として、お湯を沸かすガス料金x217日がこの太陽熱温水器によって元が取れる金額となります。

元が取れるか動画で悪天時を考慮していなかったのですが、日本エコルの太陽熱温水器には電熱ヒーターが内蔵されているので水温が低いときは電気でお湯を沸かすことができます。ただ、電熱ヒーターを動かすには18000円の操作パネルと専用回路の電気工事が必要なので工事費が数万円上がると思います。

電熱ヒーターの電気代は意外と安い

同じ電気でお湯を作るエコキュートは深夜電力だし、ヒートポンプなので電気代も安いと思いがちですがちゃんと計算してみると電熱ヒーターも悪くないと思いました。

プラン電力量料金燃料調整費再エネ賦課金合計
従量電灯B第1段階料金(太陽熱温水器)19.885.133.4528.46
従量電灯B第2段階料金(太陽熱温水器)26.485.133.4535.06
従量電灯B第3段階料金(太陽熱温水器)30.575.133.4539.15
スマートライフ夜(エコキュート)17.7811.923.4533.15
スマートライフ昼25.811.923.4541.17
2022年12月東京電力

電力量料金だけ見るとエコキュートの深夜電力は17.78円と圧倒的に安いですが深夜電力プランは燃料調整費が高いので1KWあたりの単価33.15円になりそれほど安くはありません。深夜電力プランは昼間の料金が41.17円と従量電灯Bよりもかなり高額なので全然お得ではないのです。

あと灯油ボイラーと比較した返信コメントも載せておきます。

天気が悪くても真空管は微弱に発熱しているのでいつもタンク内の水温は30℃以上はある感じです。なのであと15℃だけ加熱すれはお風呂に入れる温度になるので電熱ヒーターでもさほど金額がかかっている感じはしません。 仮に300Lのお湯を15℃上げるとしたら

300Lのお湯を15℃上げるのに必要な電力
300L×15℃=4500kcal
4500kcal÷860kcal(電気の熱量)=5.23kw

従量電灯Bの単価に5.23kwを掛けると
5.23kw×28.46円=149円

つまり149円でお風呂に入るお湯を作ることができるのでそれほど高くは無いと思います。

仮に灯油で300Lのお湯を45℃まで上げるとなると初期水温が10℃と仮定すると35℃水温度上げるので 300×35=10500kcal 灯油の熱量8767kcalで割ると

10500÷8767=1.2Lの灯油が必要
105円(灯油の単価)×1.2L=126円
146-129=23円

温水器の電熱ヒーターと灯油だと23円しか差がないので電熱ヒータも捨てたものではないと思います。

計算がおかしい

前回コメントした事に対して動画を作って頂きありがとうございました、素直に素晴らしい動画だと思いました

気になったのは、発生した発熱カロリーを全て使用する前提で計算されていますがお風呂だけでそんなに使うのでしょうか? 

僕の計算は発熱したカロリーを金額換算しました。お湯の使用量で計算していないのでその点を指摘するコメントが結構ありました。この質問に対して僕は下記のような返信をしました。

僕の家だと地下水を使っているので水温が15℃あります。それをお湯の適温である45℃まで上げるには30℃水温をあげないといけません。

9000kcal÷30℃=300L

つまりお湯を1日で300L使えば9000kcal消費できることになります。僕の家ではどのくらい使用するか考えてみました。

洗濯でまず120L。
シャワーが40L×2人で80L
食器洗いが60L

ここまでで260L使いっています。二人暮らしでこれだけ使うのだから人数が増えると300Lなんてすぐに使ってしまうと思います。ちなみにたまに犬を洗うのでそうなると1日で350L以上はお湯を使うと思います。

洗濯でお湯を大量消費していると突っ込まれるかもしれませんが、夏場の菌が繁殖した洗濯物は熱めのお湯でオキシ漬け後にそのまま洗濯すると完全に除菌されて臭わなくなるので重宝しています。

ガスや灯油給湯器は使う分だけお湯を作るからまだいいのですが、エコキュートはタンク内の水温が下がったら沸かし直さないといけません。その場合お湯を全く使っていなくても電気代がかかってしまいます。太陽熱温水器はエコキュートと同じ貯湯式温水器なのですがタンクの水温が下がっても太陽が無料で沸かし直してくれるのでその点も素晴らしいと思います。

まとめ

真空管式太陽熱温水器の素晴らしさを再認識しました。

コメント

  1. 以前、動画も拝見させて頂きました。太陽熱温水器のすばらしさについて伝えて頂き、ありがとうございます。
    当方も2010年に太陽熱温水器を設置しており、設置当時で太陽熱温水器+灯油ボイラーのランニングコストがエコキュートといい勝負(少し負ける?)位と考えておりました。それから13年、深夜電力の大幅な高騰により、今では確実にエコキュートよりもランニングコストは優っていると思っています。
    当方設置時の灯油代が年間2.4万円程度(太陽熱温水器設置前は年間6万円ほど灯油代がかかっており、60%程度は太陽熱温水器で賄えている計算)昨年1年間が3.6万円程度ですので、灯油も1.5倍程度にはなっていますが、深夜電力は3倍近くに上がっているので、比べるまでもありません。
    当方設置時は、真空管式の情報が少なかったのと、使い方的に水道直結で太陽熱温水器を意識せず使いたいという思いがあり、長州産業のYS3-3011という強制循環式のものにしましたが、次の更新の際は真空管式を検討したいと考えております。
    長文失礼いたしました。

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