コメント欄の質問
前回の真空管式太陽熱温水器について徹底解説を動画にまとめたところかなりの反響がありました。
温水器を絶賛するコメントをたくさん頂いたのですが中には懐疑的なコメントもありました。
興味深い内容でした、但し不明な点が残りました 一番関心があるのは費用対効果ですね 将来の故障や廃棄撤去費用を含めていくら払うことになるのか？ いつまで使用できるのか？ その期間に幾ら節約できるのか？ 最終的に何年で元が取れるのか？ 要するに金額や数値が出てこないと客観的に判断が出来ないのでお勧めされてもちょっと怪しく感じてしまいますね。設置費用に関してはDIY出来る人もいるが出来ない人もいることを考慮して頂けると尚良いかと思います。
太陽熱温水器の工事費用
まず太陽熱温水器の設置費用を算出しなければ行けないのですが、今年の7月に松野さん（僕の師匠）の家に日本エコルの太陽熱温水器を設置しました。DIYなので工事費は無料ですがもし工賃を取るならいくらになるか松野さんに訪ねてみました。
この前設置した太陽熱温水器は工賃を取るならいくらになりますか？
親方の日当が2万円で小僧が1万円で工期2日で計算して・・・
ちょっとまって！それは松野さんの親切価格の計算だから普通の業者目線で計算してください
えーと業者価格だと諸経費も入れて会社の利益も乗せないといけなくて・・・そもそもなんでそんな事を聞くんだ？
コメント欄で何年で元が取れるか聞かれました
各現場で工事費も変わるから簡単に計算できるわけねーだろ！そういうのはお前が計算してやるんじゃなくて購入者が自分で計算しないといけないんだよ！ソーラー発電がいい例で自分で計算しないような奴がセールスマンの口車に騙されて・・・
イラつき始めた松野さんをなんとかなだめて工事費を算出してもらいました。
材料費込で15万くらいかな
| 自然循環式太陽熱温水器サイフォン 300L | 332750 |
| 加圧ポンプ FPA20-120 | 52800 |
| 工事費 | 150000 |
| 合計金額 | 535550 |
合計金額が535550円になったのですが更にに送料も入ってくるのでおおざっぱに60万円として計算することにします。
太陽熱温水器の耐用年数
日本エコルに太陽熱温水器の耐用年数を聞いてみたところこのような返答がありました。
おはようございます。真空管が約25年ですが、真空が抜けたら変えれば良いですし従来のタイプでもメンテしながら40年使われている方もいます。
真空管の価格はいくらですか？
1本5500円、2本で10000円送料別です。
更にに真空管の詳しい資料も送ってくれました。
真空管は１層塗装を始め２層・３層とあり日本エコルの採用している真空管は特許製品で世界最高峰の４層コーティングが施してあります。
一般的には真空の寿命が10~15年と言われてる中真空寿命約25年と高寿命と高効率を発揮する真空管になります。ATO抗酸化技術を用い反射防止層と熱エネ吸収層の層間環境を減少でき昇温と耐用を増加する効果があります。
真空管式太陽熱温水器の熱量
1Lの水を1℃上昇させるのに1kcalの熱量が必要なのですが真空管式太陽熱温水器はどのくらいの熱量を持っているのか1年で最も日照時間が少ない冬至の時期に測定してみました。
動画を見てもらえばわかりますが水温の上昇温度は約30℃でした。300Lの太陽熱温水器で計算すると
300L×30℃=9000kcal
の熱量を作り出した計算になります。
太陽熱温水器の熱量を金額換算してみた
各燃料の熱量と単価
| 熱量 | 単価 | 備考 | |
| 灯油 1L | 8718kcal | 105円 | 近所のホームセンターの料金 |
| 都市ガス1㎥ | 10750kcal | 93円 | 九十九里町の料金 |
| プロパンガス1㎥ | 24000kcal | 598円 | 関東の平均料金 |
| エコキュート1kw | 2580kcal | 33.15円 | 22年12月の料金 燃調費11.92円+再エネ賦課金3.45円+電力量料金17.78円＝33.15円 |
9000kcalを他の燃料で金額換算
| 計算式 | 金額 | |
| 灯油 | 9000kcal÷8718kcal×105円 | 108円 |
| 都市ガス | 9000kcal÷10750kcal×93円 | 78円 |
| プロパンガス | 9000kcal÷24000kcal×598円 | 224円 |
| エコキュート | 9000kcal÷860kcal×33.15円 | 116円 |
9000kcalを金額換算してみたところ上記のようになりました。
元が取れるのか計算してみる
千葉の晴天日数を調べてみると217.7日でした。（出典元とどらん）
※晴天とは雲量が2以上8以下の状態
各燃料の9000kcalの金額に年間晴天日数を掛けて1年間でどれだけ節約できているか計算してみることにします。
真空管式太陽熱温水器の１年運用時の節約金額
| 9000kcalの金額 | 千葉の晴天日数 | 年間節約金額 | |
| 灯油 | 108円 | 217日 | 23436円 |
| 都市ガス | 78円 | 217日 | 16926円 |
| プロパンガス | 224円 | 217日 | 48608円 |
| エコキュート | 116円 | 217日 | 25172円 |
各燃料の年間節約金額に真空管の耐用年数25年を掛けてみました。
真空管式太陽熱温水器を25年運用時の節約金額
| 年間節約金額 | 真空管耐用年数 | 25年の節約金額 | |
| 灯油 | 23436円 | 25年 | 585900円 |
| 都市ガス | 16926円 | 25年 | 423150円 |
| プロパンガス | 48608円 | 25年 | 1215200円 |
| エコキュート | 25172円 | 25年 | 629300円 |
その他給湯器との比較
太陽熱温水器導入費用とその他の給湯器の導入費用の差額を表にしました。（ネットで簡単に調べたものなので参考程度に考えてください）
| 導入費用 | 太陽熱温水器（60万円）との差額 | |
| 石油給湯器 | 20万円 | 60万円-20万円=40万円 |
| ガス給湯器 | 20万円 | 60万円-20万円=40万円 |
| エコキュート | 30万円 | 60万円-30万円=30万円 |
何年で元が取れるのか
「太陽熱温水器（60万円）との差額」を「年間節約金額」で割って何年で元が取れるか計算してみました。
| 太陽熱温水器（60万）との差額 | 太陽熱温水器の年間節約金額 | 何年で元がが取れるか | |
| 石油給湯器 | 400000円 | 23436円 | 17年 |
| ガス給湯器（都市） | 400000円 | 16926円 | 24年 |
| ガス給湯器（プロパン） | 400000円 | 48608円 | 8年 |
| エコキュート | 300000円 | 25172円 | 12年 |
いくら元が取れるのか
日本エコルの太陽熱温水器を真空管の耐用年数である25年運用していくら元が取れるのか計算してみました。
「太陽熱温水器の25年節約金額」から「太陽熱温水器（60万円）の差額」を引いて計算しています。
いくら元が取れるか
| 太陽熱温水器の25年節約金額 | 太陽熱温水器（60万）との差額 | いくら元が取れるか | |
| 石油給湯器 | 585900円 | 400000円 | 185900円 |
| ガス給湯器（都市） | 423150円 | 400000円 | 23150円 |
| ガス給湯器（プロパン） | 1215200円 | 400000円 | 815200円 |
| エコキュート | 629300円 | 300000円 | 329300円 |
故障の要素
25年間故障なしで運用すること前提で計算しました。しかし運用中に思わぬ故障もあると思うので考えられる故障要因思いつくだけ羅列してみます。
| 故障内容 | 原因 | 修理費用（DIY） |
| 制御パネル、温度計の故障 | 経年劣化、 | 13750円 |
| 真空管の破損 | 外的要因が加わる | 1本5500円 2本10000円（送料別） |
| 配管の破損、水漏れ | 経年劣化、凍結など | 状況による |
| 電磁弁の故障 | 経年劣化、凍結など | 1000円 |
DIYで修理する前提で修理費用を計算しています。真空管の交換は小学生でもできるくらい簡単なので業者に頼まずに自分でやってみることをおすすめします。
まとめ
今回の記事は数字が苦手な人はは読む気にもなれない内容だったと思いますので、最後に結論だけまとめます。日本エコルの太陽熱温水器は今回の計算だと25年運用すれば十分元が取れることになります。25年経過したら傷んでいる真空管を交換すれば更に長期にわたって運用可能です。
ただしこれは日本エコルの太陽熱温水器で計算したデータなので他社の温水器だとまた違う結果になるかもしれません。まあ設置場所が変わっても違う結果になるし、工事料金も現場によって違うし、こういう計算は厳密にできるものではありませんね。参考程度にしてもらえればと思います。
廃棄撤去費用について
まとめを書き終わった後コメントをもう一度見直したところ撤去費用を含めていくら払うことになるのか？という記述を見逃していたことに気が付きました。1日がかりでこの記事を書いてようやく開放されたと思ったのにまだ文章を書かなければ行けないのか・・・僕はもう疲れたので松野さんに答えてもらいます。
松野さん、太陽熱温水器の撤去費用っていくらですか。
そんなもの自分でやればタダで処分できるだろ。
真空管は叩き割って不燃ゴミに出して、ステンレスタンクと架台は屑鉄屋に引き取ってもらってタンクを断熱している発泡ウレタンは燃えるゴミで出せばいいだろ。
たしかにうまくやれば全部自分で処分できますね。
そもそもなんで太陽熱温水器を撤去するんだ？
撤去費用を含めた金額を出してほしいとコメントがあったんで
何だそりゃ、売電終了後のソーラーパネルじゃないんだから撤去する必要は無いでしょ。劣化した真空管を交換しながら30年でも40年でも使い続ければいだろ。
そうっすよね。
コメント
「冬であっても、タンクの水温は、35℃以上の場合が多い」ということですが、『水道水』を利用すると、何度くらいなると思われますか？
拝見させていただいております。
大変参考になります。
「日本では、地域により異なりますが、関東平野、濃尾平野、大阪平野では水温16～18℃、年間の温度差は1℃以内であることが一般的です。」
これは、『日本地下水学会』の「よくある質問」の中の、「井戸水は夏は冷たく、冬は温かいのはなぜですか？」の回答です。
つまり、『井戸水』は、冬には、15℃くらいになるのが一般的なようです。
一方で、『水道水』は、冬には、5℃くらいになると思います。
仮に、『井戸水』の水温が15℃で、『水道水』が5℃であるとするなら、これらを35℃まで加熱するには、『水道水』は、余計に10℃加熱しなければならないと思いますが、どうなのでしょうか？